2022年の大みそかに放送された『NHK紅白歌合戦』をもって歌手活動を休止していた氷川きよしが8月17日、東京ガーデンシアターでライブを行い、歌手復帰を果たした。

 氷川は休養期間中にデビュー以来、長年所属していた長良プロダクションから独立。デビュー25周年を記念したコンサートで約1年8カ月ぶりにステージに立った氷川は、演歌からポップス、ロック、シャンソンと約3時間にわたって全32曲を披露して会場を盛り上げた。

 かつての“演歌界の貴公子”の復活を喜ぶファンも多い一方、一部ではこの日のセットリストにおいて、演歌の楽曲はすべてメドレー形式でフルコーラスで歌わなかったことから、今後は“脱・演歌”路線を加速させるのではないかといった報道もあり、その動向が注目を集めている。

 氷川を昔から知る音楽業界関係者はこう語る。

「演歌歌手としてブレークを果たした氷川さんですが、確かに以前から演歌だけでなく、他ジャンルの楽曲に強い関心を示していたのは事実です。元々、学生時代はヴィジュアル系バンドの曲やポップスの方を好んで聴いていたそうですし。そうした背景もあり、以前に所属していた事務所サイドはあくまでも演歌を主軸とする一方で、氷川のモチベーションをあげるべく採算度外視でポップスコンサートのツアーをやらせてあげたり、ロック調のアニソンをシングル曲として用意してあげたりもしていましたからね」

 そうしたケアも演歌歌手として大成するうえでの支えになっていた部分があるのだろうが、独立を果たしたことで状況は一変しているという。

「現在、氷川さんをサポートしているスタッフの多くは前所属事務所出身なのですが、いわゆる現場レベルの人間で、気心の知れた関係ではあるものの、パワーバランス的に氷川さんに物申せるような立場ではありませんからね。所属レコード会社の方もしかりで、休養前と変わりはありませんが、ビジネスという点で氷川さんを上手くコントロールできるかというとかなり微妙なところです。実際、今回の復帰コンサートにおける演歌の扱いがそれを物語っていますよね。このままだと、氷川さんの意思を尊重しすぎるあまり、ますます演歌離れに拍車がかかるのではないでしょうか」(前出の関係者)