試行錯誤する中で、洗車場に言えば捨てさせてもらえることもわかり、事なきを得ましたが、『日常生活の中で当たり前にできることが意外と苦労する』といった場面は多く、旅の醍醐味とはいえ困りました。ただ、旅をすると幸せのコスパが上がります。平らな場所で寝れる、水を自由に使える、日常では当たり前のことが当たり前ではなくなります。モノにあふれた昨今にモノのありがたみがわかる。この感覚は今の娘にも残っているので、良い影響を与えられたかなと考えています」

◆キャンピングカーが坂を転落寸前に…あわや大事故!

水汲み
 旅の最中は、本当に”意外な問題”の連続だったそうですが、それを笑って話せるのも、大事になるほどのトラブルがなかったからと言えます。では、道中最大のトラブルは何だったのか聞きました。

「一番怖かったのは、長野で大事故になりかけたことです。その時は、急な坂から車ごと転落しかけました。当時長野市を走っていたら、知らないうちに行ってはいけない場所に迷い込んでいました。そこは傾斜がキツく、気づいたら車体の重さで坂を登りきれなくなり、ブレーキをかけても車が落ち続けていきました。最終的に強引に停車させましたが、あの時は本当に怖かったです。

キャンピングカーは大きいので、想像するよりもずっと運転が難しいです。風にも煽られるし、狭いところに入ると抜けられないです。壊れるたびに修理が必要です。家族を危険に晒してしまったこの一件があって旅を一時中断した経緯があります」

 聞いているだけでドキドキしてしまうような恐怖体験です。一方、車中泊生活は狭い空間にずっと家族が一緒にいることになるため、信頼関係が欠かせません。とはいえ、喧嘩もあることでしょう。夫婦関係の面では、大きなトラブルはなかったのでしょうか。

「もちろん、夫婦喧嘩はたくさんしました。我が家では喧嘩は徹底的に話し合うことを意識していますが、もちろんすぐ実行できないくらいの大喧嘩もありましたね。例えば、真冬に夫婦で喧嘩したときは、妻が『もう嫌だ!』って、真夜中に出ていったことがありました。当時の気温はマイナス20度ですから、死の危険性があります。すぐに探しにいきましたが見つからなくて、どこかで倒れているんじゃないかと焦りましたね」