福島県南相馬市が、寄付受付サイト「ふるさとチョイス」にて、ふるさと納税制度を活用した「ガバメントクラウドファンディング」をスタートした。

続く復興への道のり

南相馬市は、福島県浜通り北東部に位置し、相双地方で最多の人口を有する市として発展してきたが、2011年に発生した東日本大震災および福島第一原子力発電所事故によって、同市に住む人の故郷の風景や暮らしは一瞬で変えられ、避難指示によってふるさとで暮らせない時期も続いた。

あれから月日が流れ、13年。復興に向けた取り組みを重ねてきた南相馬市。自分たちが誇れる街であるために、その道のりはまだ続いている。

大切に紡いできた「人馬共生」の文化

震災の時も人々の絆を繋いだ、伝統行事「相馬野馬追」(写真提供:相馬野馬追執行委員会)

そんな中で、南相馬が灯を絶やさないよう、大切に紡いできたものが、「人馬共生」の文化。その代表となるのが、国指定重要無形民俗文化財にも指定されている「相馬野馬追」であり、1,000年以上の歴史があるといわれている。「相馬野馬追」は、勇壮な祭礼として知られているが、その根底にあるのは、地域の繁栄と安寧への祈り・願いであり、相双地方とそこに住む人々を思いやる心。

街中で馬が歩いている姿は人馬共生の南相馬ならではの光景

南相馬では相馬野馬追開催前はもとより、1年を通じて、公道を馬が歩いていたり、家族の一員として馬を飼っていたりする光景を見かけるなど、他の地域では見られない独自の馬との共生文化が息づいている。

次の世代に繋げていくための挑戦

しかしながら、近年では、核家族化の進行や馬の飼養の負担増大もあり、地域の馬の飼養頭数や担い手も徐々に減少し、コロナ禍がさらにその流れを進めてしまった。この地域に住みながらも、馬に触ったこともない子どもたちも多くなっている。

小学校での「馬との触れ合い学習授業」。馬と人が共に紡ぐ景色を未来にも残していくために様々な取り組みが必要。