中山間地と都市部をつなぎ、「いのちと自然の物語をつむぎなおす」をテーマに活動するハヤチネンダは、埋葬プロジェクト「いのちを還す森」を開始。プロジェクトの説明会を、10月より開催する。

新たな葬送の在り方を提案

埋葬プロジェクト「いのちを還す森」は、岩手県遠野市のJR遠野駅から車で20分ほど北上した広葉樹の森が活動拠点。ハヤチネンダは、豊かな広葉樹林を維持管理しながら埋葬地として利用できるよう、遠野市と協議を重ねた上で墓地経営許可を受けている。(※)

2020年ごろから埋葬プロジェクトに参加する会員を募り、人が都市へ流出して、維持管理が難しくなったかつての薪炭林に少しずつ手を入れている。

会員は自身の没後、「いのちを還す森」へ遺骨を埋葬することができる。「いのちを還す森」では、墓碑や墓標をおかず、粉末化した遺骨を直接、土と混ぜて埋葬する。


埋葬された後も、森へは仲間の会員たちが毎月訪れ、自然との距離を大切にしながら手入れが続けられていく。


埋葬エリアの近くには、人々と共に景色を育む馬たちが暮らしている。

ハヤチネンダは、お墓を「買う」のではなく、仲間と出会い、多様な命とのつながりを取り戻す活動に「参加する」新たな葬送の在り方を提案。

そして、この活動の先に、人が自然の一部である感覚を持ち直し、森と人との営みが風景として、世代をこえて受け継がれていく社会的共通資本になることを目指している。

「いのちを還す森」への思い

1990年ごろより、日本では家の墓の継承を前提としない個人墓が登場し、葬送の在り方は時代の中で大きく変化してきた。さらに近年は、海洋散骨や宇宙葬など、多様な葬送サービスも見られるようになっている。

一方、ハヤチネンダは、人が共同体や自然から切り離されて暮らす現代において、命が他者や自然とのつながりを取り戻すためには、購入ではなく共に育む葬送の在り方が必要であると感じている。