「スター織田裕二、ここにあり!」という強烈なアピールになった上に、来年9月に開催される「世界陸上」に向けても弾みがついたといえそうだ。

 ただ、業界内では「フジテレビは苦い顔」とささやかれている。フジテレビは封印していた『踊る大捜査線』プロジェクトを12年ぶりに再始動させ、柳葉敏郎が主演するスピンオフ映画二部作『室井慎次 敗れざる者』(10月11日公開)と『室井慎次 生き続ける者』(11月15日公開)の公開を控えている。『踊る大捜査線』劇場版のテレビ放送などで盛り上げようとしているが、シリーズの主演を務めた織田は今のところ再始動したプロジェクトに参加する気配がないのだ。

 多くのファンは「スピンオフ映画の後に織田裕二が主演する本編の続編映画があるのだろう」と期待していたが、織田は北方謙三氏の歴史大河小説『水滸伝』を実写化するWOWOWの大作ドラマに主演することが決定。大長編を完全実写化すると予告され、撮影は数年がかりになるとみられている。そうなれば、織田はスケジュール的に『踊る大捜査線』の続編に出演するのがかなり難しくなる。むしろ、続編に出演する意思がないからこそ、『水滸伝』のオファーを受けたとも考えられる。

 せっかく鳴り物入りで再始動させた『踊る大捜査線』プロジェクトに肝心の主役が参加せず、他局で『世界陸上』に復帰する上に、特番で大盛り上がりとなっている状況を見れば、フジテレビが苦い顔をしていると指摘されるのもうなずける。

 一部のファンは「新作スピンオフ映画に織田さんがサプライズ出演するのでは」「スピンオフ公開後に本編の続編が発表されるのでは」と淡い期待を抱いているが、現状での見通しは厳しい。このまま織田とフジテレビの間の溝が深まり、再始動した『踊る大捜査線』プロジェクトは主役不在で進んでいくのだろうか。