その味に父との思い出が蘇ってしまい、思わず涙するスズリン。そこにルーリー(みりちゃむ)たちハギャレンの3人がやってきて、仲間を助けてくれた結ちゃんに感謝を述べるのでした。

「やっぱ妹ちゃんは総代の器やね」と、しつこいルーリーの勧誘を断ると、結ちゃんに助けられたスズリンがニッコリ笑って、別の提案をしてきます。

「やったら、友達は? 友達ならいいやろ」

 その笑顔にほだされ、めでたく結ちゃんのハギャレン加入が決定。「おむすび」にちなんで「ムスビン」というギャルネームが与えられ、赤外線交換からプリへと流れるのでした。

 帰宅後、「立ち入り禁止 勝手に入るな」と張り紙がしてある姉・歩(仲里依紗)の暮らした部屋のドアを開ける結ちゃん。そこはギャルデコ満載のギャルギャルしいギャル空間なのでした。

 鏡の前で、ポニーテールを解いた髪にひまわりをデコってみたりして、あわてて外してみたりして、次週へ。

■「真剣にギャルやってる」の一端

 映画『タクシードライバー』(76)で、大統領候補を襲撃することを決意したトラヴィスが、鏡の前で自らの髪の毛をモヒカンに剃り上げる有名なシーンがあります。鏡の中で、ひまわりを髪に飾った自分に笑いかける結ちゃんは、確かに自分の中の変化を感じていたでしょう。

 前回、ギャルたち「真剣にギャルやってる」という言葉が少しも理解できなかった結ちゃん。スズリンが、ろくにご飯も食べられないのに、夢に向かってちゃんと貯金をしていること。好きなネイルの話をしているときのキラキラと輝く表情。なんのてらいもなく「友達ならいいやろ」と問いかけてくる素直さ。

「真剣にギャルやってる」とは、自分の「好き」に人生を全振りしているということでした。

 歩の部屋で、結ちゃんは少なくとも、あれだけ忌み嫌っていた姉も「真剣にギャルやってた」ことだけは理解したはずです。

 ひまわりを髪に飾ることで、確かにスイッチは入った。あのトラヴィスのように。そんな朝ドラ『おむすび』の第1週でした。

(文=どらまっ子AKIちゃん)