家の畑の手伝いもあるので書道部への入部はためらう結ちゃんでしたが、「先輩も来るって」と恵美ちゃんに誘われた週末の展覧会には行くことにしました。

 結ちゃんが書道部への入部をためらう理由は、家の手伝いのほかにもうひとつありました。

「いくら楽しくても、なくなっちゃうかもしれんし」

 まだドラマの中ではっきりとは語られていませんが、結ちゃん一家は神戸で震災に遭い、父の実家である糸島に引っ越してきたという過去があります。結ちゃんの脳裏に浮かぶのは、セーラームーンのコスプレなんかして超楽しかった神戸での日々と、あの日見たガレキの山。それでも、母の説得もあって結ちゃんは書道部に参加することにしたのでした。

 週末の展覧会、わざわざ天神まで出向いた結ちゃんですが、そこに現れたのは風見先輩以外の先輩たち。書に興味もないし冴えない書道部の面々といても全然楽しくない結ちゃんは途中で帰ろうとしますが、あのギャル軍団に捕獲され、またまたハギャレン(博多ギャル連合)の総代になれと迫られるのでした。

■9年後であり、8年前である

 前回、今回と、少しずつですが結ちゃん一家が被災した1995年の阪神淡路大震災についての描写が挟まれています。このドラマは、その震災のときに実際、被災地におむすびを届けた女性たちのエピソードに着想を得ているといいます。第1話で、大切な帽子をダメにしてしまった小学生に対して結ちゃんはこんなことを言っていました。

「おいしいもん食べたら、悲しいことちょっとは忘れられるけん」

 震災の原体験と、食べ物。ギャルはさておき、栄養士になるという結ちゃんの将来への萌芽も、小出しにされ始めてきました。

 番組の公式ホームページには「どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、主人公・米田結が、激動の平成・令和を思いきり楽しく、時に悩みながらもパワフルに突き進みます!」と書かれています。ここから8年後の2011年、平成23年に発生した東日本大震災も『おむすび』というドラマは通過することになるわけです。結ちゃんは、23歳でそのときを迎えることになります。