◆「応援不参加を認めないならネット上で告白する」と保護者
「学校はプライベートな理由での応援不参加は一切認めておらず、その旨を伝えました。個人的には留学を優先させてやりたかったですけど、例外を作ってしまうとそれが前例となってしまい、応援に行かない生徒が続出するとの懸念からです。ただ、彼女が涙目になっているのがわかり、それがとても心苦しかったです……」
すると、翌日にN美さんの母親が学校を訪問。短期留学を優先させたいので応援不参加を容認してほしいと頭を下げられましたが、前日と同じ対応をせざるを得なかったとか。
そんな態度に業を煮やしたのか、母親は「今、中止にすると高額なキャンセル料が発生します。留学を認めないというならキャンセル料を学校が代わりに払ってください」と迫ってきたそうです。
「学校が支払う義務なんてないと断りましたが、『でしたら学校の対応をネット上に公開することにします』と言ってきたんです。この母親は明らかに怒っている様子でしたが感情的になってるようには見えず、出るトコに出てもいいという態度に思えました」
さすがに自分ひとりでは対応しきれないと思った氷室さんは、いったん席を外して教頭に説明。その場で指示を仰ぎます。
「教頭には『高額なキャンセル料を払わせて短期留学を取りやめさせ、甲子園の応援に参加させたとあっては学校としてもバツが悪い』と言われ、生徒と保護者の判断に委ねることを伝えました。不参加だった場合は欠席扱いになるため、そこは不満みたいでしたが納得してもらいました」
◆家族旅行を理由に不参加の生徒も
しかし、学校側が嫌がる例外を作ることになってしまったのに、なぜ容認したのでしょうか?
「教頭は応援強要がスクハラ(スクール・ハラスメント)だとネット上で炎上し、学校のイメージが悪化するのを恐れたのかもしれません。特に私学は評判を気にしますし、ちょっとしたことで受験者数や入学者数が減少して学校経営に悪影響を及ぼすからです」