しかし、その家に住む義母は、どこか自分の状況が理解できていない様子でした。義母は自分が貧しくて、子どもたちに支えてもらっているということを理解しておらず、まだまだ「自分たちが、子どもや孫の面倒を見なきゃ」と感じているようにも見えたと、恵子さんは語ります。

恵子さんがそう感じた理由は、家に様子を伺いに行くと、義母が家にあるものを渡そうとする癖があったからです。しかし、義母が渡すものは賞味期限が数年前に切れたお菓子、かび臭い野菜などなど。口に入れたら確実にお腹を壊しそうなものばかりでした。

「これ、着なくなったから恵子さんに」と渡された洋服も、すっかり黄ばんでおり、とてもじゃないけど袖を通すことを躊躇ったそうです。

事件は、義母の様子が心配だからと夫と一緒に義実家へ向かった日に起こりました。その日、家にいたのは義母1人でした。

「よく来てくれたね」と、いつものように、義母は穏やかな表情で対応してくれたそうです。恵子さんが「ゆっくりしていってね」と案内された座布団は、染みだらけ。座るのを躊躇したどころか、ぷーんと異臭がして、思わず鼻をつまんだと、恵子さんは語ります。

しばらくすると、義母は錆びた瓶に入った砂糖や、箱にカビがびっしり覆われた食品を出してきて、「これあげるわ。大変でしょう」と一言。流石に恵子さんは、すっとんきょうな声を上げたそうです。

◆食べられない食品を平気で渡す義母にモヤモヤ…

断れない母親は、マルチ商法のターゲットに
貰ったところで処分にも困るし、いざ受け取ったら最後。次も、また不要な食品を渡される気がしたので、流石に「お母さん、大丈夫です」と断ったそうです。こうして断ることも、一度や二度ではありません。それでも、その都度義母は、「遠慮しなくてもいいのに」と、寂しそうな顔で呟くのだとか。結局渋々受け取って、家に帰ってからすぐに廃棄しているそうです。

その後、義母は認知症になってしまい、義姉が施設に入れたそうです。薄々気づいていましたが、おそらくその頃から義母はボケていたのかもしれません。