◆小学校から病気のことで笑われるようになった

 彼は物心ついたときには、すでに「生きていてもつらいだけだ」と思っていた。その原因は、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)という病気をもって生まれたことだった。500人にひとり程度の割合で生まれるため、決して珍しい病気ではないが、症状は人それぞれ。彼は口唇と口蓋(口の中の天井部分)が裂けた状態だった。

 保育園のころから、母は彼に病気についてわかりやすく教えてくれた。2年ごとに高校生になるまで8回の手術を繰り返したという。そのたびに入院し、言語や発声のリハビリも継続的におこなわれていた。

「病気によって鼻の形が左右対称ではないし、唇も非対称だから、どう見ても普通の人とは様子が違う。小学校に入ってから、高学年の生徒たちに笑われるようになったんです。すれ違ってからわざわざ戻ってきて顔を見て笑われたり、呼び出されて『ヘンな顔』と言われたり。ショックでした」

パーパーほしのディスコさん
 保育園まではヒーローごっこをして遊ぶ元気で明るい子だったのが、小学生になってから一変した。