奥さんは、亜弓さん想像よりずっと地味で大人しそうな女性でした。

「多分、年齢はMさんと同じぐらいで…正直おばさんじゃんって思いました。これなら私でも勝てるかもとニヤニヤしましたね」

不倫相手の妻を見に行ったら
 そして、他の参加者の女性はグループを作ってワイワイおしゃべりをしている中、奥さんはひとりで熱心にレシピを見ていたのが印象的だったそう。

「なんか、ぼっちで浮いている可哀想な人なのかも?と思いました」

 亜弓さんは先生に言われるがまま、奥さんの隣のグループに混ざり料理がスタートしました。

◆周囲に流されない彼女を見て…

「とにかく奥さんは、真面目で先生に何度も質問しながら料理に取り組んでいました。私は同じグループの人達とインスタに載せる用の動画や写真を撮りながら、難しい事は先生にやってもらっちゃいました」

 なんとかグリーンカレーとヤム・ウンセン(春雨サラダ)を完成させ、キレイに盛り付けをすると…またもや教室内はインスタのための撮影会状態に。真上から料理の写真を撮ろうと椅子の上に乗ったり、料理と自分を一緒に撮ろうと自撮り棒を出す人達でにぎわっていたそう。

タイ料理グリーンカレー
「そんな中、奥さんは写真なんて1枚も撮らずに料理をパクパク食べ出したんですよ…しかもとても美味しそうに。なんかそれを見た瞬間にハッとしてしまって」

 周りのみんなが、インスタで“私、タイ料理を習っている意識の高い女ですよ”アピールをするために、ちょっとでも見栄えの良い写真を撮ろうと必死になっているなか、マイペースを貫いている奥さんの事をついかっこいいなと思ってしまった亜弓さん。

「なんかシンプルに自分の好きな事に没頭して、人に左右されないってうらやましいなって。それがきっかけで色々考えてしまって…」

◆彼に別れを告げたらしつこい対応で引いた

 自分は美術の勉強をするために上京して美大に通っているのに、不倫なんかして、Mさんの一言で泣いたり落ち込んだりしてバカみたい。インスタで偽りのリア充アピールしてる時間も無駄だし、もう疲れた。そんな事よりもっと勉強しなくちゃと思うようになった亜弓さん。