その後、今年1月に芦原さんが急逝。日テレ側は世間から強い批判を受け、7月に「原作者と丁寧にコミュニケーションを取り、ドラマ制作の方向性などについて相互理解を深めること」などを盛り込んだ、ドラマ制作における指針を発表した。また、日テレはムロツヨシの主演で今年4月期に人気コミック『たーたん』を原作にしたドラマを放送する予定だったが、事件の余波で急きょ制作中止になっている。

 業界内では、この事件があったことで原作者や出版社が日テレに不信感を抱き、納得できないことがあればしっかりと主張するという土壌ができ上ったのではないかと指摘されている。ドラマ制作側としても、規定された指針に従って進める必要があるため、昔のように「強引に押しとおす」ようなことはできず、引き下がったのではないかと推察されているようだ。

 ある意味で「健全化した」ともいえるが、いまだに「テレビ局の傲慢」を感じさせる出来事もあった。8月末に日テレ系の大型チャリティー特番『24時間テレビ』内で萩本欽一の半生を描いたドラマが放送されたが、萩本が9月中旬にラジオ番組で「普通は日本テレビの人が来て、『萩本さんの奥さんとの本が出てますね? それ読んで、感動したんで、テレビにしたいです』って普通言わない?それがなかった」と告白。「おかしいのにやってるっていう。気がついたらやっている」と話し、当人への「許可取り」がないまま制作された可能性を示唆した。

 これについて、日テレ側は先述の会見で「すべてきっちり確認許可を経て、制作に取りかかっています」「ご本人独特のおっしゃり方だと思います。萩本さんのお怒りを買っている話は一切ありません」と説明し、萩本の発言を否定した。

 しかし、ネット上では「24時間テレビ前の特集番組での萩本さんの反応を見る限り、軽く話があった程度でしっかりと契約を結んでいたとは思えない」「ビジネス上の書面契約は取り交わされているけど、筋を通していないってことを欽ちゃんは言いたいのでは」「こんな否定の仕方したら、欽ちゃんはウソつきって言ってるようなものなんだから言い方を考えないと」などと批判が集中している。許可取りの事実はどうあれ、萩本が「ちゃんと筋を通してくれた」と感じるようにすべきだという意見が多いようだ。