9月19日に公正取引委員会は、日本野球機構(NPB)内の「日本プロフェッショナル野球組織」に対して契約交渉の代理人を弁護士に限定することなどが独占禁止法に違反するおそれがあるとして、警告を出した。今オフから弁護士資格がない人物でも、選手と共に年俸交渉にあたることが可能となる見込みだ。
スポーツ紙野球デスクが解説する。
「昔はプロ野球の年俸交渉は選手1人と球団社長など幹部複数名がイチから交渉を進めていました。そのため選手には多角的な視点でフォローがされず、常に球団側が有利な条件ばかりで契約を更改させられていたのです」
しかし、2000年にプロ野球オーナー会議の承諾を得て代理人制度が始まった。
「選手と同席か、もしくは代理人単独で球団と交渉が可能となりました。ただ、制度にそこまでの強制力はなかったからか、巨人など一部球団は代理人交渉を長らく認めないなど、球団によって違いはありました。また参加できるのは日本弁護士連合会登録の弁護士に限定されていたこと、その弁護士も選手を1人しか担当できないなど制約が多く、これが独占禁止法に触れると判断されたのです」(同)
米メジャーリーグでは代理人交渉が当たり前で、選手は本業に専念することができたが「アメリカのエージェントは基本的に弁護士資格を有するなど、法律を熟知している人物が多い。誰でもエージェントになれるという話でもない」(同)という。日本の場合これからは、誰でも代理人交渉に臨めることにはとなったが……。
スポーツマネジメントに明るい球団関係者は次のように語る。
「サッカーJリーグでは、選手の代理で交渉できる人物を仲介人登録するなどしており、条件もわかりやすい。しかし今回プロ野球の代理人問題は、“各球団任せ”になった。関係者からは『NPBは相変わらずチームに丸投げする体質が変わっていない』との声が漏れ伝わってきている」
今や国内トップクラスの選手のほとんどがメジャー挑戦を考える時代になった。今後は各球団の“代理人格差”がこれまで以上に広がることも考えられる。