◆康太さんの暴走行為は止まらない
「信号待ちの際に、康太はタクシーにギリギリまで幅寄せして……。窓を開け、『おい、危ないだろうが!!』などと、罵声を浴びせかけ続けました。タクシーの運転手さんはまったく反応しないまま、違う道へ。そのおかげで、康太のあおり運転はそこで終わりました。咄嗟に正しい判断をしてくれた運転手さんには、感謝すると同時に、申し訳なくなります」
その後、康太さんは不機嫌になったうえに、麻耶さんに文句を言ってきたそうです。
「『さっきのは明らかにタクシーが悪かったよね? なんで腕を掴んで止めようとしたのかが理解できない。そういうことをされたら、事故るかもしれないから危ないんだよ』と……。康太が、いつもの穏やかな口調だったことがよけいにゾッとしました。『体調が悪くなったから』と言って、強引に帰宅したものの、家に帰ってからも、恐怖で震えが止まりませんでした」
それ以降、麻耶さんは康太さんとは会社以外で接することは極力避けるようになりましたが、いまだに恐怖心が消えないと言います。
「康太は、会社では相変わらずよき先輩として振る舞ってきました。会社でほかの人たちと、あおり運転から起きた事件に関して『あんなことをする人間が存在するなんて、信じられないよ』と話していたこともあります。お前も同類だろ、って思いました。一歩間違えていたら、私も事件の加害者の車に同乗していた、いわゆる“ガラケー女”になっていた可能性もあるので、笑えません」
麻耶さんは、康太さんのあおり運転の件を警察に相談することを決意したそうです。
「数ヶ月前のことですし、被害者の方がドライブレコーダーで記録していない限り、証拠もないので、ダメ元ですけどね。康太の危険運転による被害者をこれ以上増やさないために、私は勇気を出したいと思います」
力強く話す麻耶さん。警察庁は、2018年1月、全国の警察にあおり運転などの悪質・危険な運転に対して、危険運転致死傷罪・暴行罪などを適用し、厳正に捜査するように求めています。危険運転の加害者を減らすためには、麻耶さんのように、同乗者が声をあげることも必要となってくることは間違いなさそうです。
―シリーズ「気になる男性・彼・夫の意外な一面」―
<文/女子SPA!編集部 イラスト/Morimalu>