会社での地位を利用して嫌がらせを行うパワハラをはじめ、SNSでもトレンド入りしたマタハラなど、組織内にはさまざまなハラスメントが潜んでいます。

 部下への接し方に頭を悩ませる上司も多い中、アパレルメーカーで係長を務める萌さん(仮名・35歳)は「何でもハラスメントと言われると困ってしまう」と言います。萌さんは部下から「ホワイトハラスメント」被害を訴えられたことがあるそうで……。

ホワイトハラスメント
※写真はイメージです(以下同)
◆難しい仕事を与えないのは「ハラスメント」?

 4年ほど前、係長に昇進した萌さんは自身の考えるマネジメントの心得をこう話します。

「業務をいかに効率的かつ無駄なコストを使わずに完遂するかを常に考えて回しています。その中で部下一人ひとりの能力を見極め、彼・彼女たちが成長したときの体制も見据えながら、適切に仕事を割り振っているつもりです」

 部下の成長は本人の給与やモチベーションが上がるだけでなく、「組織においても大きな貢献」と萌さん。そのため、特性やキャリアビジョンも踏まえながら、個々に合わせたスキルアップの環境を用意しているとのこと。

「ドラマ『9ボーダー』(TBS系/2024年4月期)をきっかけに、ホワイトハラスメントーーつまり難しい仕事などを与えないのもハラスメントだと話題になりましたが、まさか私も非難される側になるなんて思いもしませんでした」と、職場での出来事を語ってくれました。

ホワイトハラスメント
◆「認められたい」女性社員が起こしたトラブル

 部下の結佳さん(仮名・34歳)は、難関私立大学卒で華々しいキャリアを持つ女性。専門性の高い仕事をこなす姿から「経験から積み上げてきた確固たる自信を感じる」と萌さんは言います。

 一方で、その自信からか異なる意見を聞き入れられなかったり、自身が納得できるまで議論をやめなかったりと、周囲を困らせることもあったそう。

「会社のことを考えれば、自身の提案よりも良い意見が出てきたときに発展させる議論ができるはずです。ですが彼女の場合は、『自分が認められる』ことに必死になってしまう傾向があるように見えました」