ダイスケさんも積極的に子育てしていたので、そうしたママ友メンバーの一部と、いまでも交流があるという。付き合いのなかで、それぞれがまた違う沼にハマっている様子も見られた。
「オーガニック系から、スピリチュアルにハマっていったママ友もいます。そのママ友Aさんは、夫よりオーガニック仲間のほうが自分を認めてくれると、話していました。寄り添いの精神が、自分を救ってくれた。自分にもお役目があるはずだ……と、次第にスピリチュアルの世界へ流れていったようです。いまでもたまに会うと、前世がどうとか話しています」
そのママ友から「神に導かれて書いた」と、自費出版の本を渡されたこともある。しかしスピリチュアルに興味がないダイスケさんは、数ページで挫折してしまった。
◆より深い沼に移る人も
その後ママ友Aさんは仕事を辞め、スピリチュアルビジネスをはじめて、離婚。実家が裕福なので生活に困ることはないが、振り回される子どもが不憫だと、ダイスケさんは話す。
「妻やママ友たちを含めた世の母親が、人生を模索しながら育児をし、居場所を求めていることはすごくよくわかります。自然派育児やオーガニック、スピリチュアルそのものが悪いものとも思っていません。ただ、世間一般とのあいだに溝ができやすくはありますよね。こじらせ方が極端に見えます」
◆第三子誕生で生活が一変
ダイスケさん家はその後、第三子が生まれたことで「昔ながらの育児」やオーガニックママたちとの付き合いが減っていった。
単純に、ていねいな育児をしている余裕がなくなったのだ。
さらに、過剰な発信が周囲でウワサになり、仕事関係者や昔からの知人に距離を置かれるようになっていたことも大きい。
しかし平穏に軌道修正……とはならなかった。ダイスケさん妻は、いままで大切にしていたものを、極端に憎むようになってしまったのだ。
沼が転じてアンチになるのも、よく見る現象ではある。