◆「自分でも恐ろしかった」長徳の変
どこか飄々としていて、マイペースさも感じさせる斉信。そんな彼が違う表情を見せるのが長徳の変だ。事件の中心にいた人物と言っても過言ではない。
「大石先生がおっしゃっていた悪さは、ここか、と。長徳の変はもちろん、斉信にとっても最初は意図していなかったもので、驚きから入ったんですけど、そこでのアドリブ力というか。出世欲に紐づいたなにか計画性みたいところは、自分でも恐ろしかったですね。焦っているふりをして、すごく冷静な斉信でした」
しかし、それでもF4の3人に対しては騙すようなことはしていない。
「道長には、伊周と隆家はこういうことがあってあの2人はもう終わりだぞ、とチクっていますし、これを機に行ってやろうぜ、道長、という感じでした。道長が上がっていってくれたほうが斉信としてもありがたいというのもありますし、完全に道長側ですね。
出世欲が強くて、プレイボーイではあるんですけど、わりと友情には厚い。裏切ったりもしないですし、本当に4人で上がっていくので」
ここから、また物語が始まる。
<取材・文/ふくだりょうこ>
【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ