そのうえで、こう続ける。

「映画『実写版 テニスの王子様』(2006年)や『キングダム』(19年)など数多くの実写化作品に出演している本郷奏多は外見だけでなくしゃべり方や表情、笑い方、所作など原作を意識した徹底した役作りで原作ファンからとくに厚い信頼を得ています。コミックの実写化を巡っては原作との乖離(かいり)を生んだドラマ『セクシー田中さん』(日本テレビ系)騒動も記憶に新しいですし、やはり“原作に寄せつつ自分を出す”が役者のスタンスとして王道のような気がしますね」

 近年は何かと話題に上がる人気漫画や映画の実写化だが、芸能ジャーナリストの平田昇二氏はこう語る。

「人気原作の実写化作品は是非は別としてスポンサーがつきやすく、話題性もあり、原作ファンの存在など、ある程度の売上や利益が見込めるといった商業的なメリットから映画業界やドラマ業界では重宝されています。制作の前提として原作に寄せた作品にすることを求められているわけで、“演じる前からイメージに囚われないように過去の実写化作品は観ない”というのならまだしも、少なからず原作に関しては勉強した方がいいと思いますけどね」

 そもそも、『静かなるドン2』に関しては、主人公の近藤静也役におよそ原作の風貌のイメージとは似つかわしくない長身でスタイリッシュなイケメンの伊藤をキャスティングしている時点で、制作サイドからは原作リスペクトよりもビジネス的な匂いも感じられるが、果たしてヒットを飛ばすことができるのだろうか。