◆農業も俳優も根本的には同じ
――工藤さんは2021年に山梨県で農業を始めました。2022年からはBS朝日で初の冠番組『工藤阿須加が行く 農業始めちゃいました』も放送されています。農業人としての側面を持つ工藤さんが、本作の舞台である北の大地でさらに触発されたのではと想像しますが、どうですか?
工藤:外での撮影のほうが開放感がありますよね。その場所の空気、自然に触れると、演じる上での想像力が駆り立てられます。
土地柄の歴史、思想、価値観が、撮影した画からも伝わると思います。一方で、今回のように寒い雪の中の撮影となると、自然の魅力と同時に脅威にもなり得る。雪山で遭難するかもしれない。でも自然のサイクルがあるからこそ、恵みもまた生まれる。北海道での撮影では、そういったことを改めて感じました。
――工藤さんにとっては、農業も俳優も同じサイクルにあるのかもしれませんね。
工藤:クリエティブなものを作るという意味では農業も俳優も根本的には同じことだと思います。
農業では、ただ作物を作っているわけではなく、毎年違う気候、環境の中で同じ品質を保ち続け、提供しなければなりません。最終的には美味しいと思ってもらいたいです。
<取材・文/加賀谷健 撮影/中川菜美>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu