◆突然、前を走るタクシーを追いかけだした

「康太は、穏やかで頼れるステキな先輩、という感じで、私にとっては、入社当初から気になる存在でした。地道に飲み会などでアプローチを重ね、今年のはじめぐらいから、2人で近場で食事に行くような関係になったんです。どんどん親しくなっている手応えがありました。そして、ゴールデンウィークの連休中に、ドライブデートをしようという話になったんです」

 ところが、このドライブデートで、麻耶さんの康太さんへ惹かれる気持ちは消え失せてしまうことになります。

「康太はすごく荒い運転で……それだけでもイヤでしたが、康太が突然、前方のタクシーのことを猛スピードで追いかけ出したんです。大声やクラクションで威嚇する、パッシングをしまくるといった、あからさまなあおり運転でした。すぐに通報すべきだったのですが、そのときは冷静に考えられなかったんです。事故になる! と、頭の中がパニック状態になりました。咄嗟に康太の腕を掴んで『危ないよ!』と言っても、『邪魔!』と乱暴に振り払われて……」