まあ、ハロプロの子たちの誕生日イベントのケーキの手配とかをやっていたので、そういうお店にめちゃくちゃ詳しくなっただけなんですけど……。秘書をやっていた時も手土産が必要になる場面も多かったし……」
――やっぱり仕事が関連していた(笑)。ということは、もしや稲葉さんの趣味って仕事なのでは……?
稲葉「そうは言いたくありません!(笑)」
◆年齢を気にせず、好きなことをやってほしい
――今は中高年の方々が自由で元気な時代という印象があります。稲葉さんが50代でパフォーマンスを続けていく意義とは?
稲葉「自分たちが何かを届けたいという大それた思いはありません。でも、見ていただいた同年代の方から『自分も頑張ろうと思えた』『50代でもこんなに歌って踊れるんだ』といった言葉はいただいてますよ。生きるフィールドが違っていても、そう言ってくれる人たちがいて本当に嬉しいです」
――稲葉さんの目の前のことに懸命になっている姿が、同世代のファンに勇気を与えているのかもしれませんね。
稲葉「そういう風に思ってもらいたいわけではないけど、やっていることに対して自然にそう感じていただけていることは、パフォーマンスするうえでの喜びになっています。
難しいことかもしれませんが、私と同年代で悩んでいる方も好きなことをやってみて欲しいです。周りのこととか気にしないで、やってみてください。
ハロプロ卒業後に私がなぜ会社員になったのかというと、結局は生活が不安だったのいうのが大きいんです。東京で一人暮らししていく中で、そっちにシフトすべきだという世間的な常識に沿ったような行動でした」
◆「本当にいいの?」という違和感を大切にしたい
――絶対に会社員になりたかったわけではなく、現実的な問題もあったのですね。
稲葉「後から思えば間違いなく勉強になったし、やって良かったことだとは思います。でも、どこかで自分の中に燻るものがあったから会社を辞めることにしたんです。それでもまた不安になって、別のところで再就職して……。それも糧にはなっていますが、常に『ここじゃない。ここだけじゃない。ここで本当にいいのか?』って問いかけが心の中にありました」