◆ついに掴んだ、決定的な証拠とは…?

 それからも夫の連絡頻度は変わらなかった裕子さん。ついに決定的な証拠を掴んでしまいます。

「夫が久しぶりに大阪に帰ってきた日、お風呂に入っている夫の携帯電話が鳴ったんです。先ほどまで夫が操作していたのでロックがかかっておらず、思わず見てしまいました」

決定的証拠
 そこにはキャバクラ嬢と思われる女性から『いつ帰ってくるの?』『またHしたいな』など、生々しい会話が残っていました。

「でも、それを見た時、怒りよりも一瞬で気持ちが冷めていったんです。その後、すぐに夫を責めるわけでもなく、冷静にトーク内容をスクショする自分がいましたね」

 翌日、何も知らない夫は九州へ戻っていったといいます。裕子さんが離婚届を提出したのは、それから1カ月後のことでした。

「夫から『とっくに仮面夫婦だと思ってた』と言われた時は愕然(がくぜん)としましたが、慰謝料をもらって離婚した後は気持ちもサッパリしてました。不倫の証拠が見つかった時に、夫婦関係を再構築しようとしなかった私も、どこかで仮面夫婦だと思っていたのかもしれません。離婚後も、ほとんど落ち込むこともありませんでした」

 子供もおらず、仕事もしていた裕子さん。特に金銭面で困ることはなく、現在は新しい恋人もできて幸せな日々を送っているそうです。夫婦円満だと思っていたが、実は仮面夫婦だったという裕子さん夫婦。実は意外と多いのかもしれませんね……。

――結城の男女観察記――

<TEXT/結城>

【亀山早苗】

フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio