将来の子供の教育費を考えて、資産は増やしておきたい。資産を増やすには株などへの投資が一般的だ。株や投資信託の売買をするには証券口座が必要だが、証券口座にはどのような種類があり、NISA口座とは何が違うのか。株などの投資への一歩を踏み出すために、NISA口座と一般口座、特定口座の違いを把握しておきたい。
証券口座の種類
証券口座を初めて開設する際に、どの種類の口座を選べば良いのだろうか。個人が開設できる証券口座には「一般口座」、「特定口座」、「NISA口座」がある。
一般口座とは、自ら取引の計算を行って確定申告をする口座である。取引の計算を行う必要があるため、手間がかかる。よって、初めて証券口座を開設するなら一般口座を選ぶ必要はない。
特定口座とは、証券会社が年間の損益を計算してくれる口座である。特定口座では「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」を選ぶ必要がある。源泉徴収ありでは、利益が出た際に証券会社が納税を代行してくれる。源泉徴収なしでは、利益が出た際には自ら確定申告を行い納税する。
NISA口座とは、決まった金額での投資による利益が非課税になる口座である。金融機関にNISA口座だけを開設することはできず、特定口座などに追加する形でNISA口座を開くことになる。
NISAの基礎知識
NISAとは、少額投資に対し非課税となる投資優遇制度である。NISA制度は国民の資産形成を助けるために2014年にスタートした。非課税となる投資枠(非課税枠)は最大600万円である。この投資枠で得た利益について税金が非課税となる。利用できる年間の非課税枠にも決まりがあり、2016年に100万円/年から120万円/年に増額された。非課税枠は最大5年間利用できるため、120万円の5年分で600万円となる。
非課税となる対象は、株式と投資信託などの売却益や配当金などである。20歳以上の日本在住者がNISA口座の対象となる。また利用できるNISA口座は1人1口座のみである。
NISA口座のメリットは利益が非課税になること
NISA口座のメリットは前にもお伝えしたように利益が非課税となることだ。具体的には、一般口座・特定口座での利益には約20%の税金がかかるが、NISA口座の非課税枠での利益には税金がかからない。
例えば、NISA口座と特定口座でそれぞれ50万円の利益を得たとする。NISA口座では利益50万円がすべて自分のものになる。一方、特定口座では約20%の10万円程度が税金になり、自分が得る利益は40万円程度になる。
NISA口座のデメリットは損失が発生したときの税金支払い
NISA口座のデメリットは、損失が発生した場合に税金を余計に払うケースがあることだ。その理由は、NISA口座では「損益通算」と「繰越控除」ができないからである。
損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺することである。利益から損失を引くことで税金を減らすことができる。
例えば、二つの証券会社に特定口座があり、一つの口座は50万円の利益が出て、もう一つの口座は30万円の損失が発生したとする。税金は利益50万円から損失30万円を引いた20万円に対してかかる。これが特定口座とNISA口座の場合、特定口座で50万円の利益が出て、NISA口座で30万円の損失が発生したとする。NISA口座の損失は損益通算できないため、税金は利益50万円に対してかかることになる。
繰越控除とは、損失を確定申告すると翌年以降3年間はその損失分を利益から引いて税金を計算できることである。特定口座での損失は3年間繰り越せるが、NISA口座での損失は繰り越すことができない。
ここまでNISA口座と一般口座、特定口座の違いを紹介してきた。NISA口座の利用はメリットとデメリットを把握してから行いたい。将来の資産形成を見据えるなら、早めの投資スタートをおすすめする。
文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/MONEY TIMES
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