エル・アダムスさん
人間の生活にとって欠かせない排尿。もしある日、おしっこがとつぜん出なくなったら心配でたまらないのではないだろうか。この記事では、とつぜん自力での排尿ができなくなったエル・アダムスさんの話を紹介する。
英ロンドンを拠点にコンテンツクリエイターとして働くエル・アダムスさんは30歳のとき、めずらしい病気を患っているとの診断を受けた。その後、どれだけ水分を摂取しても排尿することができなくなったという。
アダムスさんはSWNSというメディアに対し「私はきわめて健康でした。ほかに何も問題はありませんでいた。ある日、目が覚めたらおしっこが出なくて、とても心配になりました。生活が一変し、もう限界でした。トイレに行くというような簡単なタスクさえできなかったのです」と、当時の不安を語っている。
2020年10月、自力での排尿ができないことを知ったアダムスさんは、ロンドンにある聖トーマス病院の緊急治療室へ行ったところ、彼女の膀胱には1リットルもの尿が溜まっていると告げられたという。その後、アダムスさんは膀胱にカテーテルを挿入され、尿を排出してもらったそうだ。
アメリカ国立衛生研究所によると、男性は700ミリリットルまで、女性は500ミリリットルまで、膀胱に尿をためることができるとされている。つまりアダムスさんは女性の限界量の2倍にあたる尿が膀胱に溜まっていたことになる。
それ以来、アダムスさんは何度も病院で検査をし、泌尿器科医にも診てもらったというが、その時点ではなぜ自力で排尿ができないのか分からず、自宅で排尿できるようにと、カテーテルの入れ方まで教わることになったという。
それから14カ月後の2021年12月、アダムスさんは「ファウラー症候群」であるとの診断を受けた。「ファウラー症候群」は、排尿や膀胱を空にすることができない病気。現時点で、明確な原因は分かっていないものの、主に若い女性に見られる病気で、外尿道括約筋の過度の緊張により排尿に支障をきたすと考えられている。
自身が「ファウラー症候群」であると分かって以来、アダムスさんはあらゆる薬を試したものの、効果が出なかったことから、残りの生涯をカテーテルを使って排尿しなければならなくなった。
その後、アダムスさんは膀胱や腸の治療法として知られる仙骨神経刺激(医療用電気刺激療法の一種)を受けることが唯一の選択肢だと告げられる。そして、今年1月、仙骨神経刺激の手術を受けたそうだ。
この手術が功を奏したようで、アダムスさんは「カテーテルの挿入がずいぶん減って、50パーセントほど減りました。2年間の地獄の生活の後、私の生活は楽になりました」と語っている。
いまもカテーテルでの排尿に頼ってはいるものの、その明確なちがいにアダムスさんは感謝しているという。