そのころ、西条は図書館をウロウロ。そこで吉良さんの娘と偶然出会い、いろいろあって、図書館の一般客の父娘、吉良さんと娘、基山と父親という、それぞれの「父娘の愛の形」というやつを見せつけられるのでした。
■耳がキーンてなる
前回、このドラマは発生する事態のシリアスさや残酷さ、ほっこり加減が回によって行ったり来たりするので非常に見づらいという話をしましたが、今回も復讐鬼・岡留さんのハードボイルド復讐譚で始まったかと思いきや、ほっこりボウリングからのほっこり父娘愛エピソードと、物事の温度感の上下が激しすぎて、思わず「耳キーンなるわ!」と言いたくなる感じ。
描かれる父娘愛のエピソードはどれもまっとうなものですし、それによって心が動かされる西条の様子も理解できなくはないけれど、ドラマが何をやりたかったのかが回を重ねるにつれてわからなくなっていくんです。
いわゆるライトなミステリーとして始まったドラマが、最終回を前にミステリーであることを放棄している。別に、ドラマがジャンルに囚われるべきだとは思わないけれど、3話くらいまでを見て「こういうところをおもしろがればいいんだろうな」と思って期待したものを、どんどん裏切っていく。複数の脚本家それぞれが、それぞれなりに物語をおもしろく成立させようとしているのはわかるんですが、彼らの間でコンセプトというか、作品としての軸が共有されていない感じがビンビンに伝わってくる。
最初のころの感じ、好きだったんですよ。まあまあ凝ったミステリーをきれいな女の人3人がワチャワチャ言いながら解決していくなんて、爽快じゃないですか。
なんというか、デビューのころに好きだったバンドが、大人がプロデュースに入ったことでどんどん変わっていくような、そんな感じ。たった3カ月で、見ているこっちが回顧主義の痛ファンにされてしまったような、そんなモヤモヤを抱えつつ最終回を待ちたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)