前作の主人公は渡海征司郎で、今作の主人公は天城雪彦。両者とも外科医という肩書きは同じで、腕は超一流ながら性格が屈折しているため「オペ室の悪魔」と呼ばれているところも一緒なものの、別人なのです。
同じ世界観の作品で違う人物を演じるというのは、当然ながら二宮さんに求められているハードルはかなり高かったはず。性格や職業がまったく違うキャラクターなら演じ分けもしやすかったでしょうが、“高慢な性格の天才外科医”というアウトラインは同じなため、細部で個性を出していかなくてはいけないという難度の高い繊細な演技が求められているのです。
◆ヘタするとコメディのようになってしまうが…
さすが演技派・二宮和也。
今作主人公・天城は「さあ、ショータイムだ」、「だってオペは芸術だもん」といったアーティスティックな発言が多いキャラ。それらのナルシシズム感もあるセリフで、二宮さんはいい意味で前作主人公・渡海とは違うベクトルの“嫌なヤツ”感を醸し出しているので、視聴者は混乱することなく、すんなりと別人だと受け入れられたことでしょう。
また、天城のセリフはヘタするとコメディのようになってしまいかねないリスクを背負っていますが、二宮さんの針の穴に糸を通すような絶妙な演技の塩梅により、シリアスな作風を壊さないテンションの主人公になっています。
◆明らかに別人…二宮和也の演技力の高さたるや
亡くなったキャラを演じていた俳優が、続編で別人としてキャスティングされるというケースはありますが、死亡したわけでもない主人公を演じていた役者が別の人物を演じるなんてトリッキーすぎるというもの。けれどそれが斬新な“引き”の強さを生み出しています。
なんと物語中盤から前作主人公・渡海が再登場してきており、それがとびっきりの“引き”となっているのです。