“おかえりティム・バートン監督!”今作を観ながら浮かんだのは、そんな思いだった。それほどに、バートン監督らしさの詰まった作品だったのだ。

孤独で個性的なクセ者が集まった“歪(いびつ)なほっこり感”、強烈なナンセンスさとグロテスクさが可愛らしさとバカバカしさである程度中和される絶妙なバランス感覚、洗練しすぎず敢えてハンドメイド感を残したような美術の手触りや演出…これらすべてが“唯一無二のティム・バートン監督作品”に期待される要素であり、そのすべてが最新作『ビートルジュース ビートルジュース』にはあふれていた。

オリジナリティあふれる世界観の構築により、王道も邪道も許されるようになる、まさに“なんでもあり”のティム・バートン・ワールドがここに復活した。

© 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

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世界観を仕上げるダニー・エルフマンの音楽

そして何よりその世界観を仕上げるエッセンスが、長年のパートナーである作曲家ダニー・エルフマンの音楽だ。

『ビートルジュース』『バットマン』『シザーハンズ』といった多くのバートン監督作品に参加してきたエルフマンは、それらに欠かせない“不気味だが軽快”“気持ち悪いが可愛げがある”という空気感の実現を音楽によって力強く支えてきた。

洗練されたソリッドなサウンドを加えつつ、安定の“不気味カワイイ”を提供するエルフマンの音楽は、冒頭から1作目と同じメロディを使って“ビートルジュース・ワールド”に我々を引き戻し、安定のティム・バートン節が今作で見られるという予感を高めてくれた。

世界観にぴったりのキャストたち

そして、完成した世界観に飛び込んだのが、続投キャスト・新キャスト入り混じる豪華俳優陣だ。

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マイケル・キートン演じるビートルジュースは今回もトリックスターっぷりを全力で発揮。前作から続投され、またしても奇抜な髪型を我が物としているウィノナ・ライダーキャサリン・オハラも、子育てに悩む霊能者という特殊な立場になったリディアと、その母デリアを好演する。