ビットコインについては様々な勘違いがある。2017年に価格が高騰し乱高下を繰り返していることもあって、「怪しい」と手を出していない人も多いだろう。投資をするかしないかはともかく、通貨・決済手段としてより身近になる可能性もある。もしビットコインについて「知っておいたほうがいいかな」と思うなら、勘違いを正すところから始めよう。

勘違い1 ビットコインの価格は高過ぎて取引できない

ビットコインの価格は2018年8月20日時点で約72万円。たった1BTC買うのに70万円となると投資を控える人がいてもおかしくない。

しかし、ビットコインの最小単位は1BTCではなく、0.00000001BTC。上のレートなら0.0072円。理論上は0.7銭程度あればビットコイン投資が始められるのだ。

取引所によって最低購入単位を定めているため、実際にはビットコインの最小単位で購入することはできない。それでも、数百円程度あれば取引をスタートできる。

勘違い2 ビットコインは危険

ビットコインは危険そうだというイメージが強いが、それは単なる思い込みかもしれない。

2014年に大手取引所のマウントゴックスでビットコインが不正利用される事件があった。2018年1月にも国内取引所コインチェックで盗難事故が起きた。しかし、こうした事件だけを切り取って仮想通貨の安全性を疑うのは、木を見て森を見ていないのと同じだ。

取引所で起きた事件はビットコイン自体のセキュリティ問題ではなく、取引所そのもののセキュリティ体制に難があったとされている。本来はオンラインとは切り離して保管されるべき顧客の資産がオンラインにさらされていたのだ。今ではどの取引所もこの点の対策はしっかり講じているはずだ。

またビットコインは取引所に保管せずとも、自分のウォレットに移して保管しておくこともできる。仮想通貨の安全性は、利用者自身のリテラシー(教養)に依存しているのだ。

勘違い3 ビットコインは電子マネーと同じ

ビットコインはデジタルデータで実態がない。この性質から電子マネーと同じと勘違いしている人もいるが、ビットコインと電子マネーは特徴から仕組み、使い方までまったく異なる。

まず電子マネーは価格変動が起こらない。ビットコインと同じように昨日100万円だった価値が、今日には90万円になることはあり得ない。電子マネーは1万円入金すれば、その価値は常に一定となる(円の価値変動の影響は受ける)。

企業や団体が発行し、利用できる地域も限定される電子マネーに比べて、ビットコインは世界中どこでも使える。また、特定の発行主体がいるわけではない。

ビットコインも電子マネーも広い意味ではデジタルデータだが、その性質はまったく異なる。

勘違い4 ビットコインの発行量上限2,100万枚について

ビットコインの発行量上限は2,100万枚と決められているが、これは、ネットワークを支えるコミュニティメンバーの同意があれば変更できる。

たとえばステラ(Stellar)という仮想通貨は既に全量を発行済みだが、年々1%ずつ上限を増やしている。

ビットコインの発行量上限は現時点では決まっているが、実際に変更されるかどうかはともかく、変更は理論上可能なのだ。

ビットコインはもう終わり?

ビットコインが誕生したのが2008年。「サトシ・ナカモト」と名乗る謎の人物による論文に興味を持った人たちがコードを書いたのが始まりとされる。

2018年は、中国の規制強化やコインチェック騒動など仮想通貨をめぐる暗いニュースが多く、多くの仮想通貨が暴落の憂き目にあったが、まだ誕生して10年と若く、一度バブルが起きてはじけたに過ぎないとも言える。これから伸びるかどうかはともかく、「もう終わりだ」と決めつけるのは早計ではないだろうか。

また最近注目されているのはビットコインなどの仮想通貨よりもむしろ、その論文が誕生の契機となったブロックチェーン技術だ。金融業界以外にも、医療や不動産、金融資産、ビジネスと枠を越え、今後さまざまな業態・業種へと発展していく可能性がある。

ビットコインもその他の仮想通貨も、今後どうなるのかは分からない。ただし投資対象として考えるなら、間違ったニュースに流されて判断を誤らないために正しい情報収集が必要だ。投資しないまでも、決済手段としてもっと身近になる可能性は十分にある。まずはこれらの勘違いを解消してみてはいかがだろうか。

文・柳本幸大(フリーライター)/MONEY TIMES

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