おもしろいものを作ろうという意識は、すごく強く感じるドラマだったと思います。毎回、爆弾級の「謎明かし」を必ず仕込んでおく。「もうそれ言っちゃうんだ」からの「でもそれだとまた新たな謎ができちゃうぞ」という繰り返しを常に発生させていて、ずっと「謎そのもの」が物語の中心に屹立している。しかも、回を重ねるごとにその姿を変えながら、決して最終回まで全貌を見せてくれなかった。

 つまりは、原作とは別に主役をオリジナルで作ったということです。なかなか大変な作業だと思うし、すごく高い精度で成功させていると思いました。テーマ性を損なわないまま、グロ&サイコなダークエンタメとして「楽しませる」ことをまったく怠らなかった。雰囲気は暗いし、長編ミステリーとしてわからないことが多すぎると白けるし飽きるんです。「謎はどんどん明かしていく、尺が足りなきゃまた謎を作れ」という、連ドラでミステリーをやる上での教科書にもなりうるくらいのすごい脚本だったと思いますよ。

■演出・俳優もよかった

 第1話のレビュー冒頭で内藤瑛亮監督と『降り積もれ』の組み合わせを「混ぜるな危険の感じがする」と書きましたが、いい意味でやっぱり「混ぜるな危険」だったと思いました。徹底的に抑制されたトーンは最後まで一貫していましたし、だからこそ1話の冒頭と4話にあった幼い灰川が雪の中を歩くシーンの白さが、いま思い出しても実に際立っています。

 成田凌は特に6話のラストで佐藤大樹をボコボコにしているシーンの表情たるやね。怖かったよね。あとはなんといっても、やっぱり小日向文世が作品のカラーを司りました。カカロニ栗谷があんなにいい感じに芝居できるのもびっくりした。

 総じて、お腹いっぱいです。おもしろドラマをありがとう。楽しかった。

(文=どらまっ子AKIちゃん)