9月に入り、プロ野球はいよいよ終盤戦。セ・リーグは上位が混戦で、まだまだ優勝の行方は分からないが、パ・リーグはソフトバンクが独走し、リーグ優勝は確定的だ。しかし、難しいのはMVP争い。今年は個人記録が低調で、めぼしいMVP候補が見当たらない。
「投手で候補に上げられるのは、11勝を上げて(9月4点時点。以下同)ハーラーダービートップの有原航平(ソフトバンク)か、防御率1点台で10勝を上げているモイネロ(同)の2人。モイネロが防御率をキープしたまま2~3勝上積みできればMVP争いの本命ですが、9月4日にいったん登録抹消になっています。有原もオールスター以降、調子はガタ落ちなので、こちらもどうか。ポストシーズンを見据えると、無理に投げさせる必要はありません。一方の野手ですが、こちらは序盤から近藤健介(同)が3冠王も狙える勢いで打ちまくり、文句なしのMVP候補。しかし、それに待ったをかけるのが山川穂高(同)です。山川は5月から7月にかけてホームランがピタリと止まり、苦しい時期が続きましたが、オールスター以降に一気にエンジンがかかり、本塁打と打点の2冠王はほぼ決まり。打率2割3分台は少し物足りませんが、やや疲れ気味の近藤に対し、山川は好調をキープしていて、さらに数字を伸ばしそうです」(フリーのスポーツライター)
細かいデータを見れば、近藤は打率に加えて出塁率と長打率でもトップで、安打数は2位。最多安打も取れば近藤で決まりだが、全試合で4番に座り、ホームランと打点の2部門で2位に大差を付ける山川のインパクトは大きい。しかし現実的には、投票にグラウンド外の要素も絡んでくる公算が高い。
「山川は昨年、女性に対するわいせつ事件で書類送検され、無期限出場停止処分を受けました。結局、嫌疑不十分で不起訴処分となりましたが、半ばチームを追われる形でホークスに移籍。もともとは豪快なホームランやお茶目な“どすこいポーズ”で人気の選手でしたが、今や完全に悪役です。特に西武戦では相当なブーイングが上がっています。これで彼がMVPを取れば一連の騒動が蒸し返されるのは確実。彼への投票をためらう記者は少なくないでしょう。