ドーピング疑惑の渦中にあった格闘家の平本蓮に「シロ」の裁定が出た。しかし、すっきりとした幕引きにはならず、かねてから指摘されていた「日本の格闘技界はドーピング天国」という一面が浮き彫りになり、ファン離れにつながりかねない状況となっている。

 平本は7月28日に開催された『超RIZIN.3』で朝倉未来に1ラウンドKOで圧勝したが、試合後に平本がドーピングに使用する薬物ついて話している電話音声がネット上に流出。さらに、平本のセコンドを務めたこともある格闘家の赤沢幸典が「平本はドーピングに手を染めた」「自分がドーピングの方法を教えた」とSNS上で告発し、大きな騒動となった。

 平本は2日に弁護士同席で会見を開き、ドーピングを完全否定した上で「電話で話しているのは自分と赤沢氏で、赤沢氏から検査に引っかからない“サプリ”を勧められて購入したが使っていない」「赤沢氏をむげにすることはできないので、電話では『使っているフリ』で話を合わせた」と主張。その一方で「ケガの回復を早めるため、フィジカルトレーナーから勧められた『ドーピング検査で問題ない注射』を自分で打った」とした。

 しかし、かなり無理がある釈明にも思えたため、論より証拠でドーピング検査の結果に注目が集まった。

 RIZINは5日に開いた会見で、榊原信行CEOが医師同席のもと、平本、朝倉の両選手ともに尿採取による検査の結果が「陰性」だったと発表。その一方で、平本がドーピング違反になる恐れのある薬物を購入していたことについては「薬物を入手していた時点でルールによってはアウト。現状のRIZINのルールでは、そこまでの規定がないので、これをドーピングに該当という裁定はできないが、ルールを改定するとアウトになる側面がある。平本選手に猛省をしてほしい」と話した。

 RIZINは「当日に尿検査をする」というチェック方法を採用しているが、尿検査に引っかからない薬物の使用が横行している可能性があり、榊原CEOは「抜け穴」が存在することを認めた上で、抜き打ち検査や血液検査なども視野に「ルールを抜本的に見直そうと思っています」と明言した。