◆映画後も不機嫌のまま

歩く男女
 映画を見終わった後も、昌平さんの機嫌は直りませんでした。

「映画、面白かったね!」と桃子さんが言えば、「俺はそんなに好きじゃなかった」と反論。「主演の女優さん、綺麗だったね」と言ってみても、「俺は好みじゃない」と一蹴。

 まるで、価値観に相違があることを暗に伝えようとするかのような昌平さんの態度に、桃子さんも辟易してしまいました。

 このままだと、互いに楽しくない時間を過ごしているだけになる。そう思った桃子さんは「ちょっと早いけど、解散しようか」と提案。すると、昌平さんは素直に承諾し、「近くの駅まで車で送るよ」と、初めて優しい一面を見せました。

「車内は地獄でした。お互いに、この人はないと思っているので、会話を頑張ることもなく、終始、沈黙でしたね」