地震により人口減少に拍車がかかり、地域内のリソースだけで課題解決を図るには限界がある中、能登の現状を知らせる担い手の不足と、情報があってもあちこちに散らかっている状況はこれまでとこれからの災害でも共通だろう。
同社は、一部の地域や人、テーマへの報道の集中や、報道そのものの減少が起きている中、手広く被災地のストーリーを伝える発信母体と集積場所の必要性を感じてきた。こうした取り組みを継続するため、「MuTube -被災地と未災地をよくするメディア–」の企画・運営を行う同社は、今年5月に石川県で設立された。
同社の代表取締役社長・加藤愛梨さんは、「これまでに訪れた被災地では、報道が終わってしまってもなお続く被災地の悲惨な現状を目の当たりにしてきました。中でも発信力のある若者が少ない地方や過疎地域では、今何に困り苦しんでいるのか声をあげることすらできない人々が、災害により様変わりした生活に絶望していました。(中略)企業名であるMutubiやMuTubeは、日本語の「睦び」に英語のmutual(お互いに)をかけたところに由来しており、被災地と未災地との出会いが双方にとって豊かな発展につながることを意味しています。自分や大切な家族を守る災害への備えを強化するための入口として、MuTubeコンテンツの”向こう側”に関心を寄せ続けていただければ幸いです。」とコメントしている。
復興の軌跡の教訓化を図る
同社は、気候変動により激甚化する台風・水害、近い将来の発生が予測される南海トラフ地震や首都直下地震への備えとして、今後「MuTube -被災地と未災地をよくするメディア–」をプラットフォーム型アーカイブへと展開していく。
全国のクリエイターが各地の災害を伝え「続けられる」体制を構築することで、時間の変容にともなう被災地ニーズの汲み取りや、復興の軌跡の教訓化を図る。また、映像コンテンツを使ったオフラインイベントや、被災地の視察ツアー、プロジェクトコーディネートなど、「見て知ったその先」のアクション創出を促進する事業も展開していくという。