筑摩書房は、漫画家のつげ義春さんの妻で1999年に亡くなった藤原マキさんの『私の絵日記(英語版)』が、米国の権威ある漫画賞「アイズナー賞」最優秀アジア作品賞を受賞し、問い合わせが相次いでいることを受け、2014年2月にちくま文庫から刊行された『私の絵日記』を、受賞帯巻きで緊急重版した。

夫と子どもとの毎日を綴った『私の絵日記』


つげ義春さんの妻・藤原マキさんが、夫と子どもとの毎日を綴った『私の絵日記』990円(税込)。

ちくま文庫『私の絵日記』より

家族3人の散歩、子どもとの愉快な会話、初雪、オトウサンのスイトン。

家族や友人との日常の中で感じるささやかな幸せが、愛らしい絵とのびやかな文で描かれている。

調布の多摩川団地の家にて/右:藤原マキさん 左:つげ義春さん 手前:つげ正助さん

また同書には、親子3人の「家族写真集」や、つげ義春さんによる「妻、藤原マキのこと」なども収録されている。


1941年大阪生まれの藤原マキさんは、1945年島根県加茂町へ疎開の後、高校時代に帰郷。

高校卒業後、関西芸術座で2年間演劇を学び、上京。「ぶどうの会」「変身」「状況劇場」などで活躍。退団後は、漫画家・つげ義春氏と結婚、一児をもうける。1999年逝去。著書にワイズ出版の『駄菓子屋――藤原マキ画集』、福音館書店の『こんなおみせしってる?』などがある。

長男・つげ正助さんのコメント


長男のつげ正助さんは、「幼い頃の僕でも、自分のことが描かれていると、楽しく読んだ記憶があります。今読み返しても懐かしい気持ちになります。この機会にもっと母の作品が読まれるようになればうれしいです」とコメントを寄せた。

早川義夫さんが、特別エッセイを寄稿

早川書店の当時のブックカバーと栞/藤原マキ画

また、歌手でちくま文庫の『たましいの場所』『ぼくは本屋のおやじさん』などの著書があり、1973年~1995年の22年間、川崎市中原区で早川書店を営業していた早川義夫さんは、受賞記念の特別エッセイ「アイズナー賞受賞『私の絵日記』を読む」を寄稿。