8月25日、日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)の第7話が放送された。“悪魔”に例えられる2人の天才医師の間には、遠からぬ縁があることを予感させる放送回だった。

“神に愛された悪魔”と称される天才外科医・天城(二宮和也)の活躍と隠された陰謀を描く本作品。天城は、シリーズ前作にあたる日曜劇場『ブラックペアン』の主人公・渡海(二宮和也)と瓜二つ。しかし、天城は渡海とはまったくの別人として、かつて渡海が勤務していた東城大学医学部付属病院に赴任する。世界的天才医師である天城がオーストラリアからわざわざ日本にやってきたのは、東城大の新病院・スリジエハートセンターのセンター長として世界トップクラスの医療施設を造り上げるためだった。天城は東城大学医学部付属病院の院長・佐伯(内野聖陽)の要請を受け、新病院建設の資金集めに取り組む。資金を集めるための術は、天城だけが行える心臓冠動脈バイパス術「ダイレクト・アナストモーシス」だ。天城の唯一無二の手術を受けるためには、財産の半分を天城に支払い、さらに二者択一の賭けに勝利しなければならず、金・運と命を天秤にかけるかのような天城のやり方は院内外で大きな波紋を呼ぶ。天城は手術希望者から集めた財産を元手に新病院を実現しようと目論むほどの計算高い男。天城の手術技術が多くの命を救っているのは事実だが、彼の本性は善か、それとも悪か……。

 第7話は、天城という男の本質が浮き彫りになるストーリー展開となった。日本一の自動車メーカー会長・上杉(堺正章)の手術を控える天城の前に現れたのは、上杉の息子・歳弘(城田優)。父の病を会社経営の主導権奪取のチャンスととらえた歳弘は、天城に高額な報酬と引き換えに上杉の手術を失敗するよう依頼する。筆者は「さすがの天城でもわざと失敗するわけないだろう」と高を括っていたが、上杉の手術中に天城が「ダイレクト・アナストモーシス」を行うと上杉の心臓から大量の出血が起きる。天城の“手術成功率100%神話”が崩れるかと思われたが、上杉の大量出血は、全日本医学会の次期会長選を戦う佐伯の株を上げるための演出だった。佐伯は天城の片手のみの学習済みの最新医療ロボット「エルカノ・ダーウィン」の遠隔操作を使い、会長選会場から遠く離れた上杉の手術室に緊急参戦。オペ室の天城と協力し合い、上杉の心臓の2カ所に「ダイレクト・アナストモーシス」を施すという最高難度の手術を成功させた。今回の手術完遂により、天城が金と引き換えにわざと手術を失敗してほしいという悪魔のささやきには動じない、真っ当な医師であるのは間違いないだろう。