ところで南くんは中学のときにお母さん(八木亜希子)を病気で亡くしていますが、そのお母さんは最後に入院するときに「幸せだ」と言っていたそうです。ちゃんとみんなとお別れができるから、病気で死ぬ自分は幸せだ。ちよみと南くんは、カキ氷を食べながらその話を思い出したりしていました。
ちゃんとお別れ、南くんもすることにしました。夜、2人きりになった部屋で、ウキウキのちよみを前に「俺を好きになりすぎるな」と告げます。
「俺はもう、死んでるんだ」
ひー。次回へ。
■HEAVEN CAN WAIT(天国は待ってくれる)
ちよみのことを好きな手芸部の部長(今井柊斗)が、ちよみと南くんのためにTシャツを縫ってプレゼントしてくれました。「ちよみさんに恋してる身としては複雑ですが」と言いながら、大小2着の鮮やかなオレンジ色。その胸には「HEAVEN CAN WAIT」と、おそろいの文字が刺繍されています。部長が好きな映画のタイトルだそうです。
『HEAVEN CAN WAIT(天国は待ってくれる)』
1943年にエルンスト・ルビッチが監督した映画で、数々の女性と浮名を流しながら、結局は理想の女の人と添い遂げた男が死後、その経験を回想するコメディでした。
そしてもうひとつ、07年に同じ『天国は待ってくれる』という映画が公開されています。イノッチこと井ノ原快彦主演の日本映画で、男子2女子1の仲良し3人組が大人になって男子Aが女子にプロポーズした後に事故に遭い、いろいろ葛藤を抱えながら男子Bと女子が一緒になるお話でした。この映画の原作と脚本を書いたのが、今回『南くん』を書いている岡田惠和先生。04年の『いま、会いにゆきます』と09年の『おっぱいバレー』という有名作品の間に発表された映画で、あんまり知られてないけれど、自分の原作だし思い入れがあるんだろうな。
このへんもやっぱ、だいぶ岡田先生の本気を感じさせますな。いよいよこっから、どんな感じで持っていくのか楽しみです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)