一方で組関係者からはこんな声も漏れてきている。

「他の組織はわからないが、六代目山口組はこんな状態には慣れている。活動が規制されていることで、地域によっては当番もなくなり、組員たちにとっては、以前に比べると組織に拘束されることが少なくなった。神戸山口組が解散でもして、特定抗争の指定が外れると、昔のように、やれ当番や、やれ集合だと言われても、正直、面倒に思う組員も少なくはないはず。ただ神戸山口組だけでなく、絆會にしても池田組にしても、六代目山口組サイドがそれらの組織と抗争しているという認識などはほぼ皆無ではないか。それほど力の差ははっきりしているし、今後も組織同士の抗争というよりも、六代目山口組が処分した組員がヤクザを続けている限りは、武力をもってしてもこの世界から排除するという姿勢には変わりはないだろう」

 対して、神戸山口組サイドは、現在の状況をどのように考えているのだろうか。前出のジャーナリストはこのように分析している。

「こんな未来が待ち受けているとわかっていれば、六代目山口組から離脱しなかったでしょう。離脱した勢力は、当局の取り締まりが年々厳しくなっていく中、まさかここまで六代目山口組が躊躇なく、自分たちに武力を行使してくるとは考えていなかったし、内部がここまで崩壊するとは予想外であったはずです。たとえば、まさか中核組織である山健組が六代目山口組に復帰するなんて、誰も想像もしてなかったでしょうし、そもそも山健組の中心人物であった絆會・織田絆誠会長が早々に神戸山口組を割って出て、新たな組織を結成するなんて、思いもよらなかったはずです」

 果たして、抗争終結のひとつの目安である、特定抗争指定暴力団の指定解除がなされる日はいつ来るのだろうか。分裂問題も8月28日で、十年目へと突入することになった。

(文=山口組問題特別取材班)