この『地面師たち』には、綾野剛だけでなく、もうひとり地上波から避けられている俳優が出演している。それがピエール瀧だ。もともと映画を中心に俳優活動をしていた瀧だが、NHKを中心に地上波ドラマの出演も多かった。しかし、2019年に薬物で逮捕されてからは地上波の作品には出演していない。
「原則、スポンサーへの配慮が必要ないネット配信作品は、スキャンダルを起こした俳優の復帰場所となりやすいという事情は、よく指摘されることです。また、大手事務所所属の人気俳優はネット配信作品のオファーを断ることが多く、スキャンダラスなイメージの俳優にも仕事が回ってくる。というのも、特にNetflixの作品は撮影期間が長く、スケジュールを押さえるのが大変なんです。地上波ドラマに多く出演している俳優にしてみれば、Netflix作品に長時間拘束されてしまうと、ほかの仕事ができなくなる。まだまだ地上波ドラマ出演は俳優にとって重要な仕事ですから、大手事務所などはそちらを優先しがち。結果として、地上波向きではない俳優の配信ドラマ出演が増えるというわけです」(映画関係者)
さらにネット配信ドラマでは、個人事務所所属の俳優が出演するケースも多い。『地面師たち』では、地面師グループの手配師・稲葉麗子を演じる小池栄子、地面師グループのターゲットとなる大手デベロッパー・石洋ハウスの青柳部長を演じる山本耕史が、個人事務所の所属だ。
「大手事務所所属俳優に比べて、個人事務所の俳優はスケジュールを自己管理している分、とにかく融通が利きやすい。制作サイドの無茶な要求にも応えられるんです。
また、配信ドラマは地上波に比べて内容も過激だし、役柄のクセも強めです。大手事務所だと俳優のイメージを重視するがゆえに過激な役柄を避ける傾向がありますが、個人事務所の俳優であればそのあたりの基準が緩めになっていることが多い。配信側も個人事務所側も、お互いになくてはならない存在なんです」(同)