◆「不安より安心」を。この本そのものが、安心の一粒に
なかでも個人的に「なるほど。それは覚えておこう!」と強く思ったのが、「不安より安心」というエピソード。そこでは長谷川先生を「お父さん」と呼んでしまった患者さんに、付き添いの息子さんが、「今日は何月何日?」とお父さんを試すような質問をする様が描かれます。
実際に自分が家族だったら、普通にやるだろうと想像できますよね。「今日は何日?」「今朝は何を食べた?」「あの人は誰?」etc.。これなら答えられるだろう、きっとトレーニングとしてプラスになるだろうと、よかれと思って投げかける。
でも、もう答えるのが難しい状態へと進行している相手へのそれは、かえって不安を大きくしているだけ。「答えられない」という“気持ち”は、ご本人も感じ取ります。
ここで長谷川先生は「不安より安心」をあげてくださいとアドバイスします。たとえばご飯を置く際には、「ご飯だよ」ではなく、「晩ご飯だよ」と添える。
たったひと言情報を添えるだけで、ご本人にとって、とても大きな安心材料になると。「情報」という名の安心材料を、どんどんプレゼントしてあげてくださいと。とってもステキなアドバイスだと思いませんか?