◆秘訣4:脳の心配より、体力の維持
今後、私の体力が落ちてきて、処理能力が落ちてくると、きっと「ふと浮かんで、消える」が増えてくるのだろう。
脳が衰えたんじゃなく、脳が身体の衰えに合わせてくれるのである。歩けなくなったら、外のことに思いが至らなくなるように。これは、ボケなんかじゃない。脳の想定内の仕事である。脳はサボってなんかない。
私の体力(処理能力)が、暮らしを支えることができないくらいに落ちてきたら、それが他人の世話になるときだ。そのときには、脳も、身体に合わせて、かなりぼんやりしてると思うけどね。
だから、年を重ねたら、自力で歩くこと、体力維持が大切なのである。内臓が丈夫なうちに、先に体力が落ちると、人の世話になる時間が長くなる。体力維持には、努力が要る。けど、「自然にぼんやりしてくる脳」を案じてもしかたない。これは、体力が落ちてきたことに付随する脳の自然の摂理だから。
というわけで、60過ぎたら、脳の心配より、体力の維持だ。「身体を動かす、何か好きなこと」を少なくとも一つ、見つけておいてほしい。
<文/黒川伊保子 構成/女子SPA!編集部>
【黒川伊保子】
(株)感性リサーチ代表取締役社長。1959年生まれ、奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に従事、2003年現職。『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』がベストセラーに。近著に『息子のトリセツ』『母のトリセツ』