マクドナルド
※イメージです(Kana Design Image - stock.adobe.com)
 近年増えつつあるAI広告。業種を問わず、さまざまな企業が話題化をねらってチャレンジをしている分野でもあります。まずは今回炎上してしまった動画について、X上のコメントをじっくり見ていくと、わかることがあります。

 それは、マクドナルドがAIによる動画制作をしたこと自体に強い嫌悪感や批判を表明しているわけではないということ。あくまでもその表現の印象面において、率直な意見が集まっていることがわかります。

 そして、描かれた女性や映像全体の雰囲気をとらえて不快感を示したユーザーが多くいたことは否定できませんが、強い嫌悪感の根本要因は他にあったのではないかと、私は考えました。

 それは、これまで何度となくマックフライポテトを食べてきた、愛してきた顧客に対する敬意の欠如ではないかと思うのです。

 人が食事をするときに必ず伴うのは、そのときに生まれるエピソードや気持ちです。子どもの頃にポテトを食べた親子の懐かしい思い出、友達と遊ぶ流れで楽しく食べた記憶、疲れて帰ってきてLサイズを独り占めして食べたときの至福感……。

 人それぞれマックフライポテトとのエピソードがあるでしょう。つまり、多くの人がマクドナルドからもらった温かな記憶や思い出に対して、マクドナルドとして敬意や感謝、共感といった気持ちが、この動画に間接的にでも込められていたのかが、疑問なのです。

 つまり多くの人々は、自分たちが長らく重ねてきたリアルな思い出や体験とはつながりにくい、どこか人工的で温もりのない単発的なシーンをつなぎ合わせた動画に、「マックフライポテトの世界はこんなんじゃない!」という拒否感を抱いたのではないでしょうか?

◆マックフライポテトへの期待に、日本のマックはどうこたえるべきなのか?

 世界有数のグローバル企業として成長を続けているマクドナルドですが、実は日本におけるマックのプロモーションを見ていくと、海外とはやや異質であることに気がつきます。それは、有名タレントを起用するプロモーションへの依存度の高さです。