◆適切な配置のはずが、本人は納得せず

ホワイトハラスメント
 そして新規プロジェクトの立ち上げ時、参加を熱望していた結佳さんを会社はメンバーに選びませんでした。代わりに選出されたのは、結佳さんと同期入社だった別の女性。

「結佳さんとその女性のスキルは同じくらいです。ただ、彼女は周囲の動きをよく見ているし改善につなげる努力もできた。このプロジェクトに参加してもらうことで、大きな成長が見込めるというのが役職者全員の見解でした」

 また、他の仕事も進行している結佳さん。同時にできると本人は意気込んでいましたが、残業が増えることは必至。さらに、高いプライドで周囲と揉めるのではなく調和できるようになってほしいため、優秀な社員と触れ合うことができる既存のプロジェクトへ加えることにしたのです。

◆「昇給の機会を与えてもらえない」「正しく評価されてない」

 しかし、そんな上司たちの思いは届きませんでした。同期の女性が学歴もキャリアも年齢も結佳さんより下だったことで、「私だけ昇給の機会を与えてもらえない」「ハラスメントじゃないか?」と周囲にこぼしていたそう。

 さらに、参加したプロジェクトでも2回ほど続けて提案を却下されたことから「後から入ったからわかってないと思われている」「正しく評価してもらえる環境じゃない」と、ぞんざいな振る舞いが目につくようになったそうです。さらに、より認めてもらおうと必死になったのか、勝手に業務を増やし残業が増える日々。

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「これでは彼女の精神も身体もまいってしまう。そうなる前にと残業は禁止と伝えたのですが、それもまた『成長する機会を奪われている』と捉えてしまったようです。

 結佳さんは未熟ではあるもののよい視点を持っていたので、周囲がフォローしましたが、彼女の受け止め方が変わることはありませんでした」

◆会社組織では「スキル」以外の点も大事

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 ホワハラで注目された「仕事を与えない」といった上司の振る舞い。個人的な感情を持ち込んだり、人間性を否定したり、部下にとって不利益になるとわかってやる等の行為は、もちろんハラスメントに値するでしょう。