こうした背景もあり、今回の劇場版は日本のみならず、韓国でも大きな注目を集めそうだが、テレ東はしっかりと他の“勝算”を持ったうえで映画化を決定したようだ。

「当初は、故大杉漣さん、松重、光石研ら名脇役が主役の深夜ドラマ『バイプレイヤーズ』をテレ東の看板ドラマにしようと試み、21年劇場版を公開したが興行的には振るわなかった。大杉さんが亡くなり、さらに主要キャストの1人だった寺島進が事務所移籍を機にもう出演しない意向を表明したこともあって、続編の制作を取りやめた。しかし、よしながふみによる人気漫画『きのう何食べた?』をシリーズ化。W主演を務めた西島秀俊と内野聖陽演じるゲイのカップルによる食生活を中心に描いた“夜食テロ”作品として人気に。そして、21年に劇場版を公開したところ興行収入14.1億円を記録するヒット作となった。『孤独のグルメ』劇場版は、松重の熱意が局側の上層部を動かし、制作陣も奮起して映画化を決定。テレビドラマ版では低予算にもかかわらず、数字としては大成功を収めているので、仮に映画版が当たらなくても局としてはそこまで問題視することもなく、『きのう何食べた?』ほどにヒットすれば万々歳だろう」(同)

 テレ東にとっては、かなり余裕のある“賭け”といったところだろうか。