総合格闘技に比べて規律が厳しいとされるボクシングの世界でも、日本ボクシングコミッションが明確なアンチ・ドーピング規定を発行したのは今年の6月になってから。それも日本国内における公認世界タイトルマッチに出場する選手らに適用範囲は限られており、トップ選手以外のほとんどは“野放し”となっているのが現状だ。

「結局は選手自身の自覚に任せるしかないのですが、ドーピングの弊害についての教育が行き届いていない部分もありますし、医師に『バレないドーピングがある』とそそのかされて高額の薬物を購入させられるケースや、トレーナーが誤って禁止薬物を使用させ、選手がそれに気づいていないケースもある。もちろん、試合前の全員検査が理想ではありますが、処分の基準も明確にしづらい部分もあり、悩ましい問題ですよ」(同)

 もちろん“クリーン”な選手にとってはドーピング疑惑をかけられるほど不名誉なことはない。現在、日本でもトップレベルの人気を誇るRIZINという団体こそ、アンチ・ドーピングを牽引する存在になってほしいところだ。