要するに今回、夏くんはパニックになっているわけです。全然その自覚はないけど、「認知する」と決めたことで、夏くんにとって世界が「海ちゃんとそれ以外」に分かれてしまっている。弥生さんに母親をやってほしいなら水季の遺書なんて関係なく弥生さんと向き合ったほうがいいのに、死んだ水季の遺志のほうを優先している。おかげで、一度は海ちゃんのママをやるつもりになっていた弥生さんの決意も揺らいでしまいました。
■血縁ホラーの真骨頂
第1話で、このドラマは血縁という呪いに囚われた人たちのホラーだ超怖いと書きました。水季&海というモンスターに襲撃される夏くんと弥生さんという構図でしたが、いよいよ夏くんは「海ちゃんを認知する」と決めたことにより、食われる側から食う側に変貌してしまった。魂を食う側です。もう弥生さんにとっての平穏な日々は戻りません。
でも、その種をまいたのは弥生さんなんだよね。7年前、産科で子どもを堕ろしたときに、待合室のノートに不用意にぶちまけた感情の吐露がきっかけで、水季は海ちゃんを産むことにした。あのとき、自分の日記帳にでも書いておけばいいものを、誰かに読ませるためにあの愚痴(あれは愚痴だよな)を書き連ねたことで、7年越しの災難に苛まれている。水季から弥生さんに宛てた遺書は、内容は次回明らかになるんでしょうけれども、弥生さん自身がかけた呪いへのアンサーでもあるわけです。
複雑にからまりあう因果と恩讐。実にスリリングでいい感じになってきました。やっぱ津野くん、この人たちの間に踏み込まなくて正解だったと思うよ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)