挟むモノが挟まれて、軽いモノが重くなる。日用品に潜む力関係を替えてみて、普段と違った立場を任せてみる。無理な役回りを割り当てられて彼らはちょっと情けない。無彩色のモノたちは現実には存在しないオブジェとなって、写真の中だけで彼らの世界を生きている気がしている。 (Idle Reverie シリーズ 市川森一によるシリーズ解説)

東京都を拠点に活動する写真家の市川森一氏による個展「逃避考」が、9月14日(土)~29日(日)の期間、神奈川県鎌倉市のアートギャラリー「HUG FOR_.」で開催される。

市川森一氏の個展「逃避考」

「Idle Reverie」シリーズ

「HUG FOR_.」で初開催となる市川氏の個展では、これまで制作してきたシリーズである「Accumulated Times」「Idle Reverie」「Vortex of Light」「Garbage Patch」を発表。

写真集『Dis/ Association Game』

また、個展開催に合わせて出版された写真集『Dis/ Association Game』を出版し、写真集に掲載されている作品も、ギャラリーで同時に鑑賞することができる。

ある人はきれいな身体になりたいと言う。ある人は傷跡を経験として語ってくれる。取り立てて言うことのない「普通の」身体もある。そんな身体や、身体にまつわる考えを価値づけすることなく、人の身体を対等に繋げてみた。出来上がったキメラは、多様でちょっとグロテスクででも魅力的な、くっついては離れる人のあり方を語っているような気がしている。(Mistaken Connectionsシリーズ 市川森一によるシリーズ解説)

さらに、9月4日(水)~11日(水)の期間はプレビューとして、市川氏の代表作でもある「Mistaken Connections」をはじめとする過去作品を展示するなど、市川氏の作品が網羅的に鑑賞できる構成になっているという。