新型コロナウイルス感染症の影響によりテレワークが急速に普及しています。それにともない、ライフスタイルやお金の使い道に関する価値観にも変化が表れました。テレワークが当たり前になった世の中で求められているライフスタイルとは何でしょうか?また、お金の使い方がどう変化したのでしょうか?コロナ禍の前と比較してみましょう。
「コト消費」から「巣ごもり消費」がトレンドに
総務省が2020年10月に公開した「家計調査」の結果によると、コロナ禍においてテレワーク人口が増えたことや、外出自粛などの影響から「巣ごもり消費」が増加しています。
コト消費とは?
上記の調査で分かったのは、2020年8月の消費行動が前年同月に比べ多くの品目で減少傾向にあったことです。特に変化が大きかったのが、航空運賃、鉄道運賃、パック旅行費といった、移動をともなう消費です。
減少幅はそれぞれ航空運賃が95.9%、鉄道運賃は79%、パック旅行費は87.3%、映画や遊園地といったレジャー施設の消費行動も70%以上減っています。
このようなモノを購入・使用したり、機能的なサービスを受けたりするだけでなく、それらに付随する経験・体験に価値を見いだす消費活動を「コト消費」と言います。
さらに見ていきましょう。背広服は82.3%、ファンデーションは40.8%、口紅は59.7%減少という結果にもなっています。これは、仕事・プライベート問わず、外出を控えていた時期であったため、外出着やおしゃれによるコト消費につながらなかったことが原因と思われます。
巣ごもり消費で売れているものは?
同調査によると、コト消費と対照的に消費が伸びたものもあります。マスクやガーゼを含む保健用消耗品を除くと最も増えたのはゲームソフト等で、前年同月比79.5%増という結果でした。これは自粛期間に自宅で過ごす時間が急に長くなった影響と言えるでしょう。
また食料部門では、保存が利き手軽に調理ができるパスタ、即席麺、冷凍調理食品が売れていました。自粛期間が始まったころ、スーパー等でこれらが品薄となっていたことを覚えている人も多いのではないでしょうか。
外食の機会が減ったことが食事代・飲酒代の減少に表れていた一方で、チューハイ・カクテルは前年同月比44.4%増となっており、自宅で飲酒を楽しむ人が多かったことがうかがえます。
これからの理想の働き方は在宅×出社?
2020年9月24~25日にかけてリトルソフト株式会社がインターネットで「コロナ禍のライフスタイル」に関する調査を行いました(調査対象はテレワークの経験がある3大都市圏の会社員1,096人)。
「新型コロナウイルス終息後も続けたいワークスタイルは何か」という質問に対して、テレワークと出社の併用が68.8%、完全テレワークを希望する人が18.5%という結果になりました。
以前は都心のシェアオフィスやコワーキングスペースが人気となっていましたが、コロナ禍をきっかけに拠点を地方へ移したり、都心のオフィスを閉鎖したりする企業も現れています。
ライフスタイルの変化、その長所と短所
同調査では、コロナ禍のライフスタイルの良い面として半数以上の人が「自分の時間を作ることができた」と回答しています。テレワークは出社が不要となることから、特に通勤時間が長くなることも多い都心部で働く人にとって、プライベートな時間を確保できることは大きなメリットと言えるでしょう。
テレワークに限らず、外出を控えたことから自宅で過ごす時間の増加につながったと考えられます。関連する長所として睡眠時間の増加も挙げられています。また仕事のストレスが減った、という回答も。
その半面、コロナ禍のライフスタイルの短所では、運動不足になったという回答がトップになっています。次に同僚や上司、またプライベートの外出で知人などと直接会話をする機会がなくなったことによるコミュニケーション不足、テレワークおよび外出自粛のために外出することが減った、と続きます。
何もしない時間が増えたという回答もあり、通勤がなくなり稼働時間も変化したことの影響は、人によって一長一短のようです。
ハイブリッドワークとは?
テレワークと出社を組み合わせた働き方=ハイブリッドワークという言葉を聞いたことがあるでしょうか。在宅と出社、それぞれのメリットを享受できる働き方として現在注目されています。
先述した「コロナ禍のライフスタイル」調査の結果を見る限り、時間の使い方や健康管理などの面で、働き手の意識によってテレワークという働き方は良いほうにも悪いほうにも影響を与えることが考えられます。
コロナ禍による外出自粛やテレワーク推進は突然のことだったため、うまく対応するまでに時間がかかってしまった企業・個人は多いでしょう。日本は出社型の企業が多くを占めているので、テレワークでは特にコミュニケーション面で課題がありました。
テレワークを経験し、ウィズコロナ、そしていずれアフターコロナとなった社会において、完全に出社型に戻るのではなく、ハイブリッドワークも選択肢として取り入れたいところです。
進行中のプロジェクトやスケジュールを考慮し、出社すべきかテレワークで行うのか、どちらが効率よく生産性が上がるかを柔軟に判断できるようになれるといいでしょう。