今が旬という点でYOASOBIは申し分のないチョイスだったが、SNSを見ると、若者からもネガティブな反応が上がったのは気になるところ。五輪中継の性質を考えると、万人受けを考える必要もあったはずだが、YOASOBIにとっては少々の批判など痛くもかゆくもないはずだという。

「こういった超ハイトーンをとにかく多用したのが、安室奈美恵、globe、華原朋美など、一連の小室サウンドです。サビを高音にすると、突き抜けるような爽快感や解放感が曲に生まれ、聞いている人間はカタルシスを得られる。ハードロックやヘビーメタルでよく使われるやり方ですが、好き嫌いが激しく分かれるのも事実です。五輪中継は視聴者層があまりに広いので、拒否反応が出るのは仕方ない。YOASOBIとしても一定のネガティブな反応は想定の範囲内だったでしょう。

 スポーツ中継のテーマ曲は流れる回数が多いので、アーティスト的には非常に美味しい仕事ですが、制約も多い。歌詞がポジティブなのはもちろんですし、決められた秒数内に“決めフレーズ”を収めたり、民放ならスポンサーに絡めた縛りがあったり、特定のフレーズを織り込む必要があったり、手足を縛られたような状態での創作活動を求められます。

 結果的に「舞台に立って」は好き嫌いが分かれましたが、日本選手団が好成績を収め、年末の振り返り番組や紅白で五輪が大きくピックアップされるのは確実。その時はYOASOBIのテーマ曲がセットで付いてくるわけで、たとえ一部に批判があってもYOASOBIとしては五輪様々といった感覚のはずです」(前出・音楽ライター)

 この後にはパラ五輪も控えており、YOASOBIの舞台はまだまだ続くことになりそうだ。