「あの日観た映画は、常に緊張感が味わえる、じわじわ~と怖さを感じる展開でした」

◆そんな中、21時半に予定外のピンポンが!

玄関チャイム
 映画が佳境に入った頃、さらにドキドキしながらストーリーに引き込まれていったゆかさん。

 そんなゆかさんが「ひゃっ!!!」と飛び跳ねたのは、映画ではなく玄関チャイムの音でした。

「あの時は飛び上がりましたね。身体中のドキドキが止まらないまま、慌てて玄関に向かいました」

 ワインの酔いが回っていたのと、サスペンス映画の世界から突如現実世界へと引き戻されたのとで、何も考えないままに玄関の扉を開けたそうです。

「今思い出しても恥ずかしいのですが、あの日は好きな人と目が合って気持ちが上がっていて、実は部屋ではノーブラにスリップ姿だったんですよ」

◆慌てて玄関を開けたら、いつもの30代男性宅配員さん

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 ドアを開けると立っていたのはいつもの宅急便を届けてくれるお兄さんでした。

「普段は置き配にしているんです。だからあんな夜に荷物が来るなんて想定外でした。なぜかあの日は置き配設定になっていなくて」

 一瞬ゆかさんの顔を見たお兄さん、すぐに目を伏せて荷物を渡すと真っ赤な顔で帰って行ったんだとか。

「私、なんかお兄さんの様子がいつもと違うなとは思ったんですが、酔っ払っていたのでその時は何があったのか気づかなくて。映画が終わって歯磨きの時に自分の姿を鏡でみて、もう絶句しました」

◆ノーブラスリップに胸ポチ

 ゆかさんは鏡をみて、ノーブラにスリップ姿だったことにやっと気がついたそう。

「もう、後の祭りなんですけどね。荷物が届いたのがちょうど映画のクライマックスでドキドキしていたところに、チャイムでさらに驚いたので……完全に胸ポチしていたと思います。あー、恥ずかしい!」

 その日以来、ゆかさんの家にくる宅急便の配達からいつものお兄さんは外れてしまったそうです。ゆかさんも宅配業者のお兄さんも、今回のことが尾を引かないといいですね。

<取材・文/maki イラスト/ズズズ@zzz_illust>