夫の遺族年金と貯金をあてにしていた妻の誤算
夫が亡くなると年金額は減る上、子供がいない場合、夫の相続財産をあてにしていると思わぬ誤算が生じることもあります。今回は妻が10歳年下の、子供がいない老夫婦の失敗を紹介します。
今回紹介するIさん夫妻は、夫が40年間会社員として働き、妻は専業主婦という、ひと昔であれば標準的と言えるご夫婦です。
Iさんが60歳で退職した時、金融資産は退職金を合わせて5,000万円ほどありました。Iさん夫妻は年齢が10歳差のご夫婦で、Iさんが65歳になるまでは年金はもらえず、Iさん75歳(妻65歳)までは夫1人の年金で生活しなければなりません。結果、Iさんが75歳の時には金融資産は2,000万円ほどになっていました。
しかし、妻が65歳を迎えると妻の分の老齢基礎年金が加わったので、夫の老齢厚生年金と合わせて夫婦で月約22万円の年金を受け取れるようになりました。Iさん夫妻の1ヵ月の生活費は約27万円なので、月々の赤字は5万円。つまり、2,000万円の貯金があれば33年生活できるので、妻が平均寿命を迎えるまでは充分な蓄えのはずでした。